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Op-Amp その3 - 内部回路例


Op-Amp その2の記事に続いて、オペアンプの内部の回路がどうなっているか、代表的な NE5534 と TL082 を取り上げて見てみましょう。
中がどうなっているか分かったら使うときに気をつける点も理解できるかもしれません。


まず NE5534 です。 TI の仕様書から抜粋させていただききました。 中のトランジスタ番号(Q1など)は私が付けました。  また青の線や緑のコメントも私の記入です。


赤の Q 番号は信号を直接扱っているトランジスタで、青の太線が信号の通路です。 少し薄くして分かりやすくした線もあります。
Q3、Q4 の差動で増幅した後、Q12、Q13 に入ります。  この段は差動にする場合が多いのですが 5534 では別々に増幅して、コレクタ側のミラー回路で信号を合成しています。
合成後は Q17 と Q19 のダーリントンに入ります。 Q17 は少しでも下側のスイングを稼ぐため、コレクタを Q19 ではなくて、もっと高い電圧点につないでいます。  Q19 のコレクタはダイオード Q25 と保護回路の抵抗をぬけて出力に行きます。  同時に Q24 のバイアス回路を通って Q28 のエミッタフォロアをドライブし、Q28 は出力端子を引き上げるときの電流を供給します。

信号の通路は以上ですが、その他の補助回路は次の様になります。


Q1、Q2 は入力が開きすぎると Q3、Q4 が破壊しますのでその保護をしています。 ユーザとしてはこれを知っていると解析の時に助かることがあります。  2つの入力間が(電圧が離れると)インピーダンスが低くなる現象が現れます。

Q6 から Q11 までは定電流を得るための駆動回路です。  Q11 の N-JFET でバイアスされた Q10 が Q8 から一定の電流を引き出し、Q5 の定電流源の電流値を(Q22 の半分よりもさらに)少なくしています。

Q22 はコレクタを2つ書いてあるトランジスタですが、実態は2つのトランジスタのベースとエミッタが共通になったものだと思ってください。  1つ目のトランジスタのコレクタで引かれた電流と同じ値が2つ目のトランジスタのコレクタから流れ出ます。  (それが Q19 の方に行きます)

Q14 は Q12 のコレクタが飽和しない様にクランプするものです。 同様に、Q18 は Q19 が飽和しない様にクランプしています。  この回路から、出力端子が一番下に振れたときの電圧が予想できます。

Q23、24、25 は Q28 をアクティブな領域に入れておくためのバイアスです。
Q27 は出力端子がショートして、電流を極端に引き出そうとしたときに Q28 を保護します。
同様に Q26 はショートした出力から大電流を引き込もうとしたときに ON になり、Q20 をして Q17 をカットオフの方向へ動かしめる保護回路です。
出力端にある 15Ω という値を知れば、おおよその出力制限電流値が分かりますし、温度が高くなるとベース・エミッタ間の電圧が下がりますから、 制限電流値も小さくなるであろうことが分かります。


ついでですから TL082 の J-FET Op-Amp も見てみましょうか。


P-チャンネルの J-FET ですので、入力の漏れ電流は + (入っていく方向)です。 

Q1、Q2 のドレインをミラーで受けてから、2段目のダーリントン(Q3、Q4)に入ります。  Q3 のコレクタは Q15 のコレクタ位置でも良かったのですが、Vcc+ まで持ち上げています。 
Q4 のの出力は B クラスの SEPP (Q5,Q6)に入り、出力されます。

出力端子の保護は 64Ω と 128Ω だけですからあまり電流を取ることを想定した設計ではありません。

出力電圧の上側は無負荷の時で Vcc+ から 0.8V 落ちのあたりでしょう。  Q13 の飽和と Q5 のVBE の和です。 下側は D1 のクランプと Q4 のエミッタ抵抗がありますからもう少し大きくなって 1.5V 程度でしょうか。  D1 のクランプは Q4 が飽和して高周波特性が悪くなるのを救います。



[関連記事]
Op-Amp その1 - 理想特性
Op-Amp その2 - 現実の特性

[参考文献]
Op Amp Application Handbook、Analog Devices, Inc. By Walt Jung