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エミッタフォロアは浮遊容量に注意


エミッタフォロアの周りに浮遊容量や浮遊インダクタンスがあるとろくなことがありません。
ベース側に浮遊インダクタンスがある時に寄生振動することについては以前の記事 の「余談」でご紹介しました。

では、エミッタ側に容量がくっついたときはどうなるでしょうか。 
エミッタフォロアはときどき機器の出力段として、外部の低いインピーダンスを駆動するために挿入されますので、シールド線などの容量性負荷がつながることがあります。
シールド線には様々なものがありますが、1メートルあたり 100p から 300p 程度の容量を持っているのが一般的です。  75Ω の同軸ケーブルでは比較的少なく、ポリエチレンを使ったもので 67.6pF/m ですが、それでもかなりの量になります。

オーディオの周波数帯では、この伝送線にマッチする低いインピーダンスで送り出すことはせず、浮遊容量として甘んじて受け止め、それを駆動する場合がほとんどです。  反射は低周波なので問題になりません。

右の回路では問題点を誇張するためにわざと 10kΩという高いエミッタ負荷抵抗を入れてみました。

信号を入れます。 黄色が入力で、緑色が出力です。

30kHz のサイン波(もどき)に対しては問題なく通過させます。


3MHz では明らかに歪んでいます。
上がり方向は素直に上昇しますが、下がり方向が落ちていきません。 この結果、波形がゆがむだけでなく、バイアス点が上にシフトします。


問題点を明らかにするため、矩形波にします。
300kHz です。 上昇はいいのですが、下降が RC 積で落ちている様子が分かります。
原因は、付加された容量に対して、上昇するときはエミッタから大きな電流が供給され、短時間に充電されるのに対し、下降するときは、トランジスタはカットオフの状態になり、100pF にある電荷が 10kΩ を通してしか放電しないことにあります
この時定数は 1u 秒になります。

これは「非線形回路にキャパシタを入れるときは注意」の記事で書いた現象と同じ原理です。


100pF を取り除いてプローブの容量である 12pF だけになると左の図のように 300kHz のパルスも問題なく通過します。

100pF を取り去る代わりに、10kΩ を 1kΩ に変更しても同じように改善されます。(ほとんど同じ波形なので図は省略)



結論としては:
- エミッタに容量がくっつくときは、エミッタ負荷抵抗を低くして、扱う上限の
     周波数の下降スロープの勾配よりも短い時定数を持たせること。
- 機器の外部につなぐときは直列に抵抗をかませて、上がりも下がりもでき
     るだけ同じ勾配にして、バイアスのシフトをなくすこと。
と言えます。