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デシベル dB


「デシベル」 をちょっとまとめて解説しておきましょうか。 たくさんあります。
まず、相対値の dB と、絶対値の dB がある、ということを知っておいてください。


それでは相対値の dB からです。

2つの電力の比を常用対数で表したものをベル(Bel)といいます。  そのままでは数値が小さいので、小数点を右へひとつ動かした数値を「デシベル」(deciBel)といいます。 すなわち

   電力の場合、AはBに対して 10 log(A/B)

と計算し dB という記号を使います。 d は小文字、B は大文字です。
ところで、抵抗(R)に消費される電力(P)は電圧(E)の関数として
   P = E^2 / R
です。 2乗になりますから、その分を補正して

   電圧の場合、AはBに対して 20 log(A/B) 、

と計算されます。 電流の時も同じです。 よく考えると、上の2つの式は同じことを言っているのが分かります。  たとえば電圧が2倍になりますと電力は E^2 に比例ですから4倍になります。 で、どちらも 6dB 増しというわけです。
log は常用対数です。 自然対数(ln)をつかう時は ネーパ (Np) という単位になります。 ネーパは電力比の自然対数に 1/2 を掛けたものです。  1Np = 8.686dB です。

簡単に頭の中で計算するときは、例えば電圧ですと

    10倍なら 20dB
    100倍なら 40dB
    1000倍なら 60dB
    上の逆なら -(マイナス)を付ける
    2倍はほぼ正確に 6dB
    4倍ならほぼ 12dB
    1割り増しなら、ちょっと不正確だけど +1dB
    1.4倍ならほぼ +3dB

ということを憶えているといいでしょう。 これらを組み合わせると暗算しておおよその相対関係を出すことができます。  280 倍なら、100 倍の 2 倍の 1.4 倍だから、40dB 足す 6dB 足す 3dB で 49dB というぐあいです。



絶対値の dB にはたくさんあります。

10 log(A/B) 又は 20 log(A/B) は A の大きさを B を基準として測っているわけですので、 B をある値に固定すると A もその測定単位で固定できます。
それで、B をどの単位に取るかによって、dB に添え字を付けて表して、絶対単位を表現することができます。 例えば dBi  dBV  dBm という書き方をします。

dBV
dBV は、交流電圧実効値 1Vを 0dB とした絶対単位です。 低周波信号でマッチングを取らなくても良い回路の中で使われます。

dBm
dBm は 1mW の電力を基準にした絶対単位です。
600Ω に 1mW の電力を消費させるには電圧 0.7746V がいります。 また 50Ω では 0.2236V になります。

dBu
600Ω に 1mW の電力を消費させる実効値電圧は 0.7746V ですが、この電圧のレベルを 0dBu とします。 オーディオ機器でよく使われる単位です。  0dBu は -2.22dBV になります。

dBW
お分かりですか? そう、1W を基準とした dB です。 上の dBm と同様に使います。

dBi
アンテナのメインローブを Far Field の電界強度で測定して、等方性アンテナで球形に放射した場合(そんなことはできないけど)に対してどれだけ大きいかを表します。  i は isotropic の意味です。
半波長ダイポールのあのドーナッツ型の放射では、球形に比べて 2.15dB 高いので、「ゲインは 2.15dBi である」 と表現します。
アンテナゲインは、 dBd と言ったときはダイポールとの比をいいます。 2.15dB の差があります。
あ、これらは厳密には相対単位ですね。

dBμ
これは1マイクロボルトを 0dB とした単位です。 高周波の電圧を表す場合によく使います。 米国では dBu と書くこともあります。

dB SPL
1933 年の Fletcher and Munson の研究で、1kHz でやっと聞こえる程度の音の大きさ (Hearing Threshold)は、音圧で 20 uPa(マイクロパスカル)の圧力変化であるとしました。  私は歳ですからそんな小さな音は聞こえませんが。
その音圧を 0 dB として被測定音圧を 20* log (音圧/20uPa) で表したものを dB SPL とします。 Lp とも記します。  SPL は Sound Pressure Level の略です。 
その後の研究では、例えば Robinson and Dadson は 1kHz での Threshold を 5dBSPL ぐらいだとしています。
dB SPL と丁寧に書く音響エンジニアはあまりいなくて、単に dB と書く場合が多くあります。 音響エンジニアはあまり厳密ではないのでしょうか。
また、音響ノイズを表す場合は、以前の記事でも書いた dB(A) とか dB(C) といったような帯域を表す添え字を付け加えます。  「xxdBA ref. 20uPa」 という書き方をする場合もあります。

dB-PWL
Acoustic Power は dB-PWL で表します。 Pw とも表記します。
球面状に放射されるパワーを 10^-12W を基準として、10*log を取ったものです。 この「パワー」は音圧と粒子の速度の積になります。

他にも採りこぼしたものがあると思いますが、この辺で。




[音に関する参考文献]
Handbook for Sound Engineers 3rd ed., Glen M. Ballou, Elsevier,  ISBN 0240807588 (ちょっと高いですが音響屋さんは持っておいた方がいいでしょう)

[2015年追記] 最新版(2015) は
Handbook for Sound Engineers (Audio Engineering Society Presents)  ISBN-10: 041584293X
です。


昭和40年代はオルソンの「音楽工学」でしたが、原書の初版からの邦訳が27年後で、発刊時ですでに内容が古くあまりいい本ではありませんでした。
音楽工学、 誠文堂新光社 平岡正徳訳 No ISBN