トランジスタのノイズ

ポップコーンノイズって聞いたことがありますか? 実はこれはあまり耳には聞こえないんです。 オシロスコープにははっきり出てくるんですけどネ。
でも、これを RIAA イコライザを通して高い方のノイズを低減してやると低いスペクトルが現れてよく聞き取れるようになります。
右の図は、2SC32 という大昔のトランジスタから出ているノイズを増幅し、 IHF-A の重み付けをしてスコープに出したものです。 横軸は 5ms/div です。 パルスの幅が短いので耳に残りません。 もっと前のトランジスタ(ゲルマ時代)には耳につくものがありました。
最近のトランジスタは製法がずいぶん良くなって、ポップコーンノイズは聞き取れません。 手持ちの部品箱の中から 100 本ほど調べましたが、 この様な古いものまで遡らなければなりませんでした。
2SC32 というのは 1964 年頃の石です。
ノイズレベルは、入力ショート時で、入力換算で -131.2 dBV ほどになります。
(ちなみに、真空管ですと、低ノイズの定番の 12AX7 でどう頑張っても -127dBV 辺りが限界です。)

この右の図は、少し時代が下がって 1969 年頃の低雑音の代表選手である 2SC732 です。 上と同じスケールで、ゲインはわずかに(2.5dB)高い状態で撮っています。 ずいぶんノイズが小さくなりました。 ポップコーンはほとんど見られません。
ノイズレベルは -138.5 dBV ほどになります。
2SC732 の中にも 100 本ほど調べればポップコーンが見えるものもありますが、手持ちの 10 本ほどの中にはありませんでした。

この右は今でも使われている 2SC2240 です。 さらに下がって、ノイズレベルは -141.2 dBV ほどになります。 スケールとゲインは C732 と同じです。
うまく 2SC32 のポップコーンが聞こえるでしょうか。 ちょっとダウンロードして Media Player で開いてみてください。 (いずれも 30 秒です)
2SC32 の音です。 ==>
それを RIAA 重みづけしたものです。 ==>
2SC732 の音です。 ==>
2SC2240 の音です。 ==>
(各 5.6MB ほどあります)
MP3 では波形がよく出ないので WAV にしています。 ちょっとファイルサイズが大きくなって申し訳ありません。
Media Player で波形を出すには右の図のように /プレイビュー/視覚エフェクト/バーとウェーブ/スコープ をクリックします。どうですか? あるはずの 2SC32 でもよほど注意深く聞かないと分からないでしょう?
ポップコーンノイズというのは、半導体内部や表面でのイオンなどの余分な電荷が突然動いたり、 パッケージに含まれる同位元素からアルファ線が出て接合付近をたたいたりしたときに、突発的に出るパルス性のノイズです。 ガウス分布からはずれて、ぴょんと跳び出た波形が見られます。
時代を経て、製造工程が改善されるに従ってどんどん良くなり、いまでは実質的に無視できるようになりました。
