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ショットキバリア、順方向電圧の温度特性


ひとつ前の記事で、GaAs ショットキバリアダイオードの温度補償について簡単に記述しました。

GaAs ショットキバリアの温度特性は Web 中をさがしてもなかなか見つかりません。 なもんですから自分で測って見当をつけています。 そのときのデータをご紹介します。 ちょっと貴重かも知れません。



順方向に 10uA を流したときの、順方向電圧降下の値を、温度でトレースしたものです。
1SS105 以外にも、手近にあった何種類かのショットキダイオードも測っています。 申し訳ありませんが、サンプル数はいずれも1です。

一番上の緑の線が 1SS105 です。 GaAs のバンドギャップが大きいので上の方にいます。
上から2つ目(青)はシリコンのPN接合のスイッチングダイオードで、見慣れた特性です。 傾斜は緑よりも大きくなっていますので、前の記事に書いたように温度補償には使えません。
補償に使ったのはピンクのやつです。 その線にバイアスを加えて上に 296mV ずらすとピンクの点線になり、室温付近では緑の線と沿っている様子が分かります。 
まだ不十分かもしれませんが、下の図のように傾斜を少し緩やかにする補正を入れれば、もう少し良くすることができるでしょう。 順方向の変化分に伴う電流変化分を省略した近似ですが右側の図の赤い破線です。 前回記事での補償はそこまでしていません。



最初のグラフの下の方にある紺色のものは、シリコンのショットキですが、大電流の整流用です。 少し傾斜が大きくなっています。

こうしてみると、小信号のショットキは、下の方にあるもの(検波用と整流用 <100mV)を除いて、シリコンもガリウムヒ素も同じような傾斜を持っていることが分かります。


最初のグラフは 10uA の時のものですが、 1mA になりますとかなり乱れたものになります。 接合面積が小さいので、標準のダイオードの式に合わなくなるためです。
右のグラフは廃品種の SB0015-03A の順方向特性ですが、昔のものなので丁寧に温度のパラメータも入れてくれています。 大きい電流域では逆転していることが分かります。

ショットキ接合は、飽和電流が比較的大きく、かつ飽和電流自体が温度の関数ですので PN 接合のようなきれいなグラフにはなかなかなりません。 完璧な温度補償をするためには、最終的にはウエファ上の隣接したダイオードをペアとして使う方法しかないでしょう。


[余談]
おおまかな予測をするときは、指の温度を使うときもあります。
ダイオードは米粒よりも小さいので熱容量としては取り扱いが楽なのですが、2本の指をあごの下に1分ほどはさんでから、すぐにダイオードを強くつかみます。
このとき、ダイオードをサランラップ1枚で絶縁して、指に電流を流さない様にします。 また両側のリード線もつかんで、熱を逃がさないようにします。
対となる2つのダイオードを交互にやってみれば、(夏でなければ)おおよその見当を付けることができます。 
室温との温度差がどの程度かが知りたければ、気心の知れた(あらかじめ温度特性を知っている)シリコンPNダイオードで同じことをやってみればいいでしょう。
ESD には気を付けてください。