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マイクロ波検出器


マイクロ波を扱っていると、正確な測定はともかく、波が存在しているかどうかを知りたいことが良くあります。  相対的な強度もわかればもっといいでしょう。
手持ちの部品で 2.5G ISM バンドの磁界を検出するもの作ってみました。 さらにアンテナを小さくすれば 10GHz は楽にカバーできます。



手持ちの部品といっても、10GHz を超えるショットキバリアダイオードは手持ちがなかったので、あちこち相談して、親切な方からガリウムヒ素の 1SS105 を譲っていただきました。  このほかにアマチュアが半田付けで使用するもので、現在入手できるものとしては、ルネサスのシリコンのショットキダイオードで HSC285 というのがあります。  順方向の電圧降下が少ないので使いやすいかも知れません。

比較的大きい信号でしたら、電流計の端子にシリコンのショットキをつけるだけでもいいのですが、今回はかなり小さい信号を扱う必要があったのでアンプも付けることにしました。

GaAs のショットキダイオードでは、順方向の電圧降下が大きいので、小信号を扱うときは DC バイアスを加えてやります。  バッファアンプの高いインピーダンスで受けられますので、10uA にしました。  ショットキは部品間のばらつきが大きいので実測しました。 5 個見てみたところ、10uA、21度C で 489mV から 535mV と様々です。

さて、このバイアス値と温度特性の両方を引き算してやる必要があります。 バイアス値の方はシリコンの PN 接合で何とかなりそうな値です。  1S953 を 100-200uA でドライブすればそれぐらいになるでしょう。  ところがどっこい、GaAs のショットキの温度特性の方はどうやら -1.6mV/度 ほどのようです。  Si PN は -2.2 程度ですので補償できません。
お金のある人は(コストがかかってもよいときは) もう一つ同じ GaAs のダイオードを使えばいいのですが、単に温度を検知するためだけにマイクロ波ダイオードを使うのもしゃくにさわります。

そこで、手持ちのダイオードやトランジスタを片端から調べてみました。  うまいことに、シリコンのショットキの中に温度の勾配が近い値のものがありました。  5種類のショットキの中の、三洋の SB0030-04A というものでした。 ところが、これの順方向電圧は小さい値です(当然)。 
やむなく、TL430 で非常に安定な電圧を発生させ、そこから抵抗で分圧して下駄を履かせることにしました。
温度補償を突き詰めて考えますと、
   - 2つの特性のそろったチップが
   - 2つとも熱的に結合して1つのパッケージに入っていて
   - 2つの間はシールドが入っている
ような部品がほしくなります。  Agilent の HSMS-282K というのがまさしくそれです。  これはシリコンのショットキダイオードです。


次の難関は電圧の増幅です。 10mV の入力でフルスケール程度振らせたかったので、46dB の直流増幅をします。  チョッパアンプを設計したのですが、目的は「値はどうでも良い」というのですから、面倒な回路を全部捨ててそのまま DC 増幅にやりなおしました。  TL084 を使っていますので、オフセットの補正回路が要ります。 電源投入から安定まで5分ほどかかります。

1/4-TL084 がひとつ余ったのでスコープできるように 20dB アンプも付けました。

次はセンス用のアンテナです。
今回の目的はお話ししていませんが、相手方はルーズカップルにする必要のあるものでした。  金属部分を多く接近させないようにします。 相手は ISM バンドの 2.5GHz を扱うものです。 (将来は 5G も)
それで、小さなループとし、磁束だけを拾います。 12mm X 8mm のループですが、シミュレートしてみると半波長 3.6GHz で大きな共振があり、そこから下はインダクティブになって、2.5G なら磁界に反応することが分かります。(右図)  3.6GHz では感度が高くなりますが、周りの電磁界を乱しますので被測定物の環境を壊してしまいます。  目的に合わせてアンテナを選択する必要があります。 
今回は、測定している電磁場を乱したくなかったので、感度は犠牲にしてできるだけ RCS (Rader Cross Section レーダ断面積) を小さくしました。


まあとにかく作ってみました。
R1 でダイオードのバイアス補償と初段のオフセットの消去をします。 TP1-TP2 間で 0mV とします。 R2、R3 で DC アンプのオフセットを消します。  (正確に増幅しない、、、そう、ちょっとインチキですが、でも結果的にはうまく動きます)
検波の周りは非常に小さく作ります。  できれば 1SS105 と 18pF と 560Ω は 3mm 四方に収まるぐらいに。   また、ダイオード両端の浮遊容量が増えないように、余分なランドが無いようにし、浮かせて空中でつなぎます。
SB0030-04A はガラス封止ですから、気にする方は黒いチューブでもかけて光電効果を避けます。

50k のゲイン調整に並列に入っている 1MΩ は、ポテンシオメータの摺動子が接触不良で離れたときに入力をオープンにしないためのものです。  細かいことですが、こういったことは丁寧にやってください。
1SS105 に逆接続している SiSW ダイオードはショットキの過入力保護です。  ショットキの接触面積は非常に小さく、また逆耐圧も低いので、ESD や 高入力は禁物です。 
Vdd と Vss にある 0.01u のパスコンは TL084 の足と GND 間に直接くっつけます。 チップキャパシタがいいでしょう。

10mV フルスケールですと、ダイオードはほとんど2乗則の領域で動作しています。  メータのふれは磁束量に比例していますから、磁界の相対的な強度も分かります。  ただ、メータは簡易なものを使いましたので 85% を超えた辺りから直線性がかなり悪くなる傾向がありました。  このセット特有の現象ですが、使うときにちょっと注意すればいいでしょう。

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WLAN のアンテナから 30cm ほど離した位置でどんな波が出ているかを観察してみました。 右の青い写真です。
スコープ端子で見てみると、パルス状に放射している様子が分かります。 これは IEEE802.11b です。


コードレスフォンの子機の近くに持っていきますと、耳のすぐ横にアンテナがあるのが分かります。  (側頭葉はだいじょうぶかいな?) その波形は、位相と振幅の両方を変調しているので複雑な波形です。


電子レンジでは面白いことが分かりました。
自動で「ミルクを温める」を選んだのですが、最初の数十秒は波が出ていません。 どうやら重さや温度を測っているようです。  波が出始めるとすごい量です。 2m 離れていてもがんがん振れています。  ターンテーブルの回転に合わせて大きくなったり、小さくなったりします。  連続波(CW)ではなく、きたないパルス状になっています。




[余話]
赤外線の機器をデバッグするときも、光が出ているかどうかが分かると助かるときがありますね。
簡単に作れます。 フォトトランジスタが赤外領域で感度が高いことを利用します。 56k は適当に調整して、光が入ったら LED が点灯するようにしてください。 黒のパイプは内径が 4mm、長さが 15mm 位にして、目的方向以外の光が入らないようにします。 同軸ケーブルのシースでもいいでしょう。


[後日、改良した回路]
以下の改良したものは CQ 出版の「RF ワールド」No.6 (2009年6月発行)に掲載しました。


 

 A 点は外皮とショートしてもよい


WLAN IEEE802.11a 
 
WLAN IEEE802.11g
 
PHS
 
Microwave Oven