KK Linear Phase Filter
このサイトの Forum にお見えになった方から、とても貴重なリニア・フェーズ・フィルター計算結果を提供いただきました。 このリニア・フェーズ・フィルターは他では見当たりません。 勝手にKK Linear Phase Filter と名前を付けました。 その性質は Equiripple Delay Time Linear Phase Low Pass Filter です。
「ガウシアン・フィルターの次数の影響」で議論していた、次数が上がったときの群遅延時間(以下 GD)がどのように変わるか、という図では、リップルの割合(%)が GD に対して一定になるようなもの (1%) で比較をしました。
ところで、ガウシアン・フィルターの使用目的から考えますと、パルス波の崩れを最小限にしたいことが上げられます。 その観点からは、伝送パルスをフーリエ展開したときの周波数コンポーネントがすべて同じ「遅れ時間量(秒)」になるべきであると言えます。 いくら遅れても、全部が同じ時間だけ遅れれば元の波形が保たれます。
ですから、次数の比較は誤差を「率(%)」ではなく「時間(秒)」で統一するべきです。 率が同じときは、高次になるに従って GD が大きくなりますから、リップル量は大きくなって有利になり、公平な比較でなくなります。
その指摘があったのは Forum の書き込み #1056 でした。
私には改善出来ませんでしたが、その方は最終的な係数まで計算してくださいました。
この図は、GD のリップルが 5ms になるような場合の 2 次から 8 次までの比較です。 フィルターの次数の選択をするときはこの比較が正解です。
すぐ下に、以前の 1% Ripple のグラフを置いておきますので比較出来ますが、2次と8次の限界周波数の比がこんなに違います。


上の図の7次のカーブでは GD がほぼ 0.5 秒で、5 ms は 1% に当たりますので、左の 1 % ripple の図とは apple-to-apple の比較になっています。
係数の一部は次のようなものです。
(Copied here by courtesy of "kmn")

- 周波数が Hz 単位であることに注意してください
- Equiripple ではありますが、Symmetrical ではありません。
[注]
下の参考文献 1 では比較をリップル誤差の率(%) を同じにして行っています。
また参考文献 2 は参考文献 3 を引用する形でリップルを「度」で同じにして(後述)表に掲載しています。
それらに対して、上の記事では誤差の「時間」を同じにして比較しています。 他では見当たらないと表現したのはこの意味です。

群遅延の単位は時間ですから、参考文献 2、3 が「度」の誤差を使っているのはわかりにくいかもしれません。 ちょっと解説しますと、「リニア・フェーズ」というのは周波数に従って位相が直線的に遅れていく、という理想的な状態を追求しています。 その観点から、位相が直線からどれだけずれているかを「度」で表現しているのです。 右図にその概念を示します。 リップルの周期は右に行くほどわずかに短くなりますので、それを周波数で微分した群遅延は少しばたつきが大きくなります。
[参考文献]
1. 「伝送回路網およびフィルタ」、 電子通信学会/コロナ社、 矢崎銀作 武部幹、 No ISBN
2. Electronic Filter Design Handbook, Forth Edition, Arthur Williams and Fred Taylor,
McGrow-Hill, ISBN 007-147171-5
3. Handbook of Filter Synthesis, Anatol. I. Zverev, John Wily and Sons, 1967
(revised 2004, ISBN-13: 978-0471749424)
