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レコードのパチパチ音


レコードディスクを再生するときノイズが出ますが、私なりに考えてみますと、そのノイズは3種類あるように思います。

1.ザーザー、   素材の荒さ
2.プツプツ、   小さな砂粒やキズなどを踏んだとき
3.パチッ、    静電気放電(ESD)

ザーザー音は昔の SP 盤にありましたね。 LP ではずいぶん良くなりました。 
ゴミを踏む音はクリーナで掃除をしてやるとある程度よくすることができます。  ただし、こすると静電気が起きますので、ほこりが吸い付きやすくなって、そのプツプツ音が出たり、また3番目の静電気放電ノイズが増加します。
(余談ですが、ほこりが取れにくいときは、タオルを少し湿らして使うと良く取れます。  このとき、とてもゆっくり拭います。 湿っていても、早く拭うと帯電します。  マイクロファイバーの布は使ってはいけません。 非常に小さな繊維片がくっついて取れなくなります。)

一番やっかいなのが静電気放電 ESD です。
波形を観察しますと右図のような形をしており、立ち上がりが鋭く(10-100us)、指数関数的に戻ります。  外部からの電荷ですので、異物を踏んだときのように正負両方に振るのではなく、片側の極性だけに偏ります。

たまたま使ったこのカートリッジではどういう構造の結果なのか、右チャンネルに集中的に発生します。 ほぼ9割方が右です。

また、ディスクによって発生の頻度におおきな差があります。
片面 30 分でほとんど無いものもあり、100回ぐらい発生するものもあります。  たとえば、RCA の Red Label のレコードはどれも非常に発生が少なくなっています。
下の図は、大量に発生する盤の場合で、最初の 30 秒位を見てみたものですが、右のチャンネルに7つの負に大きく振っているインパルスが見えています。  上の図はその2つ目のパルスの、時間軸を拡大したものですが、他のものもほぼ同じ形です。



そのカートリッジに細工をほどこして、なんとか改善してみました。 下の図は同じ箇所を観察したところです。

ずいぶん良くなりましたね。

このカートリッジは右の図(DENON のウェブページから借用)のように、本体がプラスチックでできています。
盤が帯電していると、一番近い放電先はカンチレバーになるわけです。  カンチレバーに突入した電荷はトーンアームに逃げることができません。  やむなく流れる先は信号線そのものか、そのグラウンド線になるでしょう。  どちらにしても信号にノイズが乗ることになります。  グラウンド線もインピーダンスは0ではないですから、共通インピーダンスによるノイズになります。


そこで、解決策として、盤面からの静電気をバイパスさせる仕組みを作ることにします。
アルミの箔を切って、先端をとがらせた放電端を作りこれを盤面にかすかに接触させます。
針に先行して走らせる位置におきます。
捕まえた電荷はカートリッジを包み込むように流します。  包むように流すと、放電電流が作る磁束はカートリッジの中に侵入しなくて、信号のループがノイズの磁束を拾わなくなります。

電荷は包み込んだアルミ箔を通って、直ちにアームに抜けるようにしておきます。
 
ちょっと不細工になりましたが、効果は抜群でした。

カートリッジ屋さん、がんばってください。 もっと改良の余地があるようですよ。
* カートリッジの外側は導電体で包んだ上で、シェルと接続できるようにしたり、
* カンチレバーから小さい導電率の物質で直接その導電体へ電荷を逃がしたり、
* 信号線(信号帰線を含む)とカンチレバー間は適切な絶縁(500V程度の耐圧)を施したり、
* ポールピースなどの信号外の金属は信号グラウンドに繋がず、端子を出しておき、
  ユーザーが信号グラウンドにつなぐかシェルにつなぐか選択できるようにしておいたり、
などなど。


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[余談]
レコードディスクをかけなくなって何十年も経ちますが、古いものを取りだしてみると懐かしいものやいいレコードもたくさんあります。  かけられなくなる前にデジタル化してしまおうと奮起しました。
シュアのカートリッジ(V15 TypeIII)は長年の間に断線しており、他のカートリッジは気に入らないものばかりなので DENON を買ってきました。  最新の低ノイズのOPアンプを使ったイコライザアンプも設計して、プレーヤに組み込みました。

何枚かはとてもうまくデジタイズできたのですが、私の好きなサッチモの「My Musical Autobiography」 (4枚組) のところまで来て問題が起きました。  ESD がすごく多いのです。
最初の一面は波形をみながら修正作業をしたのですが1時間ぐらいかかります。  「やってられない」ということで ESD ノイズ退治に乗り出しました。
スパイクの数にして 1/20 ~ 1/50位にすることができました。

イオナイザを置くという手もあるかもしれません。 手持ちのイオナイザを使ってみましたがそれは効果がありませんでした。


[参考]
塩化ビニールは布でこすると負に帯電するようです。 実験してみました。
この右の図はスコープで見たままですが、上の記事の最初の図は、この波形を RIAA カーブで重み付けしたものに相当します。
横軸: 100us/div, 縦軸: 50V/div,
プローブ: 2.2Mohm 12pF

電圧は高いのですが電荷量はそれほど多くなく、目の子で 4nC 位でしょう。


右の図は静電気放電ではなく、ほこりなどの異物を踏んだときの波形です。 静電気の時は上側か下側の片方だけに振りますが、ほこりの時は直流分がありませんので上下両方に振って面積が相殺されます。
この例では、針は主として上下に動かされた結果、左チャンネルと右チャンネルの位相が反対になっています。
跳ね上がった期間は 0.5ms です。  盤面では中程の場所でしたので、半径 10cm の位置としてみると、異物の大きさは 80um 位になるでしょうか。  髪の毛の直径程度ですので、注意すると見えるかもしれませんね。

[参考]
このページをお読みになるような方はひょっとしたら RIAA イコライザーにも興味がおありになるかもしれませんね。  自作されるなら ==>RIAA Equalizer のページにおいでください。