2次のサレンキーフィルタの自動計算
(注意: 以下の記事を掲載後 「7次までのフィルタの楽々設計」 の記事を書いており、
そこにあるエクセルの方が高性能です。)
以前に 2 次のサレンキー・ローパス・フィルタを掲載しましたが,それに対して素子の値を自動計算するプログラムを作りました。 エクセルにマクロとして組み込みましたので公開します。
フィルタの多項式の係数を入れ、一部の定数を任意に選んで入力すると、残りの定数を計算してくれるものです。

これです ==> 改良版
使い方:
RCK Cal のエリアにある Help を押します。 右のようなメニューが出ますから、選んでその一つをクリックします。 これでシートの M4 と M5 に a と b が入ります。 a、b というのは2次のフィルタの多項式
G(s) = 1 / ( s^2 + as + b )
に出てくる a と b です。 もちろんメニューからではなく、直接 M4,M5 に値を入れても動きます。 もし (s^2 + sω/Q + ω^2) の形で Q ω を持っているなら ω/Q と ω^2 を手計算して a b に入れてください。
つづいて、R1、R2、C1、C2、K の5つの変数の内、どれでもいいですから 3 つを指定します。 K は 1 ないし 2.5 までの値を入れてください。 RC は 0.05 から 20 程度までの値にしてください。
そして Go のボタンを押します。
5秒ほどで計算が終わって RCK の値が出され、グラフが書き換えられます。
(ほんとは計算はあっという間に終わっているのですが、ひとつの値が出るたびにエクセルがいちいち表計算とグラフ書きをするのでおそいのです)場合によっては、値が求まらないときがあります。 与えられた数値では希望の周波数特性が得られないときです。
右の方にある小さなグラフ Solution Evaluation を見てください。 解が求まらないときは青い線と赤い線が交わりません(右図)。 こういうときは指定した3つの値を別のものにしてみます。 例えば C1 を指定してあるなら、それを 10 倍にしてみてください。 または K を 2 程度にしてみてください。
このグラフは、横軸に 2つ目の未決定の素子の値を取り,縦軸にそれに応じた係数 a を計算して、 与えられた a の値からどれだけ乖離しているか調べる評価関数です。

上の図のように2回交叉するときは解が2組あります。 最初は右側の解が使われています。 Alt のボタンを押すと別の解が使われてグラフが再計算されます。 もう一度押すと元に戻ります。

右の図のように、交叉が1つのときは、解は1つしか有りません。
解が2つある時は気を付けてください。 たいていの場合は大丈夫ですが,例えば Bessel で、R1=R2=1 で K にエミッタフォロアにでもするつもりで 0.98 を入れますと、こうなります。

左の解は非常に不安定で、K がわずかに振れるだけで大きくずれます。 Alt ボタンで見比べて,横軸の値(決定するべき素子の値)が妥当かどうか、安定な方の RC を選択してください。 おそらくいつも右側の方が安定だろうと思います(未証明)。 結果は右側を最初に表示するようにしています。
自由度の高い素子決定を心がけて作りましたので、解がなかったり2つ出たりして不便なところもありますがお許しを。
[追記]
http://www.linear-tech.co.jp/designtools/filtercad.jsp

からダウンロードできます。
非常に良くできたプログラムです。
要求する周波数特性を指定すると、自動的に次数を判定し、アクティブ RC 回路か、スイッチトキャパシタフィルタかを選択させ、周波数特性、位相特性、群遅延、パルス応答、回路図が出ます。
[2026/02] このツールはなくなりました。 代わりはこれです: Analog Devices フィルター・ウィザード
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フィルタについてさらに詳しく追求したい方に参考書をご紹介します。

Electronic Filter Design Handbook Forth Edition, Arthur Williams & Fred Taylor, McGraw Hill, ISBN 0-07-147171-5
今年,第4版になりました。
LC フィルタ,アクティブフィルタ,デジタルフィルタ全体的にかなり詳しく書かれています。 昔の影像パラメタフィルタ設計法についてはありませんが、必要ないでしょう。
パラメタもポール位置とLCの値をかなりの数で網羅しています。
上の Filter CAD も CD で付属しています。
よく感じることなのですが,このように特定の分野について深く広く網羅していて、実用に耐える文献は日本には皆無に近い状態です。 マイクロ波,アンテナ,低周波アナログ,,,, 日米を比較するとその差は歴然としています。
どうしてなんでしょうかね???
日本の文献は非常に浅く、網羅されていません。 専門書は教科書的で、実務に耐えないものが多くあります。 論文は単発の局面だけです。
もっとアカデミーはインダストリーと交流が必要ですし、インダストリーは自社の殻に閉じこもらず、社会の工業技術の蓄積と発展を考えるべきでしょう。 このままでは,日本は欧米の情報を入手するだけです。 そのレベルのものを作れるようにはなるでしょうが、その上に出ることは無理のように感じます。
