2 次から 7 次までのフィルタの楽々設計
このサイトで過去にご紹介した2次、3次、4次のサレンキーフィルタを縦続接続し、かつ、一般的なフィルタの係数をとりそろえ、 さらに、容量の決定を半自動化して、手間を省けるようにしたエクセルマクロを作りました。 皆様に使って頂けるよう公開します。 ステップ応答も見ることができます。
使い方は簡単で、一番楽な方法を使えば、多分1分もあれば設計できてしまうほどです。
Excel には予め分析ツールとVBA分析ツールを組み込んでおいてください。 /ツール/アドイン/にあります。
下のエクセルシートをダウンロードして試してみてください。 やり方の例は以下の通りです。
1.シートを選びます。 例として5次の5を選んでみます。

2.つぎに、赤の表の中にある 「Help」 をクリックします。

3.出てきたフィルタの種類の中から、希望のフィルタのボタンをクリックします。 これでその係数が自動的にエクセルシートに転送されます。 右の図はリップルが 0.5dB のチェビシェフを選択しているところです。

4. 「Go」 ボタンを押します。 「Auto-search」 が表示され、容量値の検索が自動的に始まります。 その赤い 「Auto-search」 が消えるまで10秒ほど待ってください(時間はパソコンのスピードによります)。

5. 空色のカラムに答えが出ます。 C の値は E12 系列を採用しましたので便利です。
そのあとは、黄色の表で自由に De-normalize を行ってください。 これで5次の、リップルが 0.5dB のチェビシェフの設計が終わりです。 そうやって作ったフィルタの例は R75Fil.htm のページの一番下に掲載しています。

上で紹介した方法は、4次の段の場合は別ですが、K の値を 1 にして計算するやり方です。 4次の段のときは制約条件がきつくて、すべて空白にして C=1 でしか計算できません。 K は選ぶことができません。
2次と3次の段は指定の方法が3種類あります。
1. すべてを空白にしておく方法
2. 2次の段は任意の3つを指定する、3次は4つを指定する方法
3. K = 1 だけを指定する方法
De-normalize は最終的な周波数とインピーダンスレベルに変換する工程です。 黄色い表の2つのカラムの左側は抵抗値を指定する場合で、右側は容量値を優先する場合です。 赤いセルに指定値を入れると即座に他のRCの値が出ます。
オレンジ色の表はハイパスフィルタに変換する時に使います。
周波数と抵抗値か、周波数と容量値を赤いセルに入れると他の RC の値がでます。
以前紹介した AutoFilCal シリーズと若干異なる点があります。 以前のものは回路解析を行っていました。 RCK の値を指定すると、それを使って回路応答を計算し、周波数特性のグラフを出していました。 設計の時は RCK の値を出した後、それを使って周波数特性を計算しています。
今回の AutoFil-1-7 では回路解析は行いません。 グラフはフィルタの関数をいきなり計算して描いています。 ですから R や C の値を手で入れ直してもグラフには反映されません。
Parameters のシートに、Linear Phase と Transitional のフィルターのパラメタを追加掲載しています。 使用するときはコピーして、「形式を選択して貼り付け」を使って値を計算シートに移してください。
Transitional Filter (Gaussian Transisional Filter) はベッセルとバタワースを混ぜたものです。 帯域内ではベッセルに近く、帯域外ではバタワースに近くしてあります。 TBT Filter (Transitional Butterworth Thomson Filter) とも呼ばれます。 切り替え点は 6dB 落ちと 12dB 落ちの2種類を用意してあります。 オーバシュートを小さくして、かつ帯域外の切れをよくしたいときに効果的です。
Linear Phase with Equilipple Error Filter はベッセルよりも群遅延時間が平坦で、かつ切れの良いフィルターを実現できます。 通過帯域内の群遅延時間に対してチェビシェフの近似を使って少しリップルを持たせて、帯域外はシャープに切ろうとするものです。 w=1 を -3dB としていますからベッセルと比較するときは少しずらして比べる必要があります。 ベッセルでは w=1 は位相回転が半分の位置です。
ついでと言ってはなんですが、遅延対称チェビシェフ特性フィルタ(Linear Phase, Symmetrical Chebyshev Equiripple Error Filter)も追加しておきました。 群遅延特性のリップルを上下に振らすことにより、ステップ応答の収束がずいぶん速くなります。
下のグラフは、左が 0.5 度 のリップルエラーを持つ Linear Phase 5次フィルタのステップレスポンスです。 右は -6dB まではベッセル近似で、そこより先はバタワース近似になる5次の Transitional フィルタの周波数応答です。 オーディオでスピーカの分離に使うと理想的でしょうね。

エクセルシート ==>
または zip ファイル ==>
(IE: 右クリックして「対象をファイルに保存」を選ぶ)
(FireFox: 左クリックし、保存する)
ダウンロードしたらバックアップをとっておいてください。 計算式が入っているセルをまちがって上書きしてしまったときなどに役立ちます。
せいぜいご利用ください。
[参考文献]
1. 「伝送回路網およびフィルタ」、 電子通信学会/コロナ社、 矢崎銀作 武部幹、 No ISBN
なお、この文献中、表 16.6 にある誤植は上記の Excel に取り込む際に修正しました。
2. Electronic Filter Design Handbook, Forth Edition, Arthur Williams and Fred Taylor,
McGrow-Hill, ISBN 007-147171-5
3. Electronic Engineers' Handbook, Second and Forth Edition, Donald Fink and Donald Christiansen,
McGrow-Hill, ISBN 007-020981-2, 007-021077-2
