幅広の導体のインダクタンス
昔から高周波ではグラウンドに落とすときにできるだけ太い(幅の広い)導体に最短距離でつなぐようにしていますが、 その効果がどういうものか、インダクタンス分について調査してみました。
ずいぶん効果的です。

さしあたって直線状の銅のワイヤのインダクタンスがどの程度であるか計算してみました。 導体内を均一に電流が流れているときと、表面だけを流れているときでは若干の違いがありますが、 直径 0.5mm のワイヤで長さが 3cm なら約 30nH 程度の値になるようです。 太いほどインダクタンスは下がります。
まあこの長さの線は高周波では使えません。 インダクタンスが大きすぎます。

続いて平たい銅箔を調べます。 幅がどのような影響を及ぼすかを調べたいので、まず基準となる 1mm の幅の細いものを取り上げます。
算出が面倒なのでシミュレータを動かしました。
金属の箱を用意します。 5cm * 8cm で高さが 10cm で、天と地をぬいて自由空間とします。
長さ 3cm の1オンス銅の箔を作り、右側を右の壁の中央につないでおきます。
左側に伝送線から給電しますが、伝送線のインピーダンスは Deembed で相殺します。

結果はこのようになりました。 共振の影響が無いところで、インダクタンスだけを見たかったので 50-500MHz をスイープしています。
リアクタンスが 300MHz で65Ω ほどですから、L は 34nH ぐらいでしょうか。 (あ、これは箱のインダクタンスを含みます)
こんな線は高周波には使えませんね。
それでは幅を広げてみます。 5cm にしてみました。 給電点は左の辺の真ん中あたりにとっています。
だいぶ下がりましたね。
インダクタンスは 10nH になりました。 しかし私の感覚からすると、まだずいぶん高い値です。

そういえば、端っこにつなぐことはまずありません。 ちょっと中に寄せてみます。
給電点を箔の中央付近にします。 伝送線は銅箔から 1mm 離した上方に配置しています。 前と同じように Deembed を行います。

ほーら、見事に下がりました。
高周波ではこういったグラウンドの導体の選択や、接続点の工夫が必要になります。
実際に回路を組むのであれば、箔の左端も壁にくっつけてしまいます。 むこうと手前の端の辺もできればそうした方がいいでしょう。 トランジスタやキャパシタをグラウンドに落とすときは、そのリード線がインダクタンスを持ちますから線の長さをできるだけ 0 にするようにしてこの平面に接続します。
[余談]

3つ目で、真ん中あたりに接続した場合の、この銅箔に流れる電流を絵にしてみますと右のようになります--ちょっとメッシュが粗いですが。 これは 300MHz のときで、銅箔も金属の箱も共振はしていません。 この絵ではシミュレータ上で Auto-Ground という手法で給電していますので、給電線の影響は見えないようになってます。
