Vcc は交流的には GND、しかし (その2)
Ground (GND)というのは、その回路ブロックの中のいろいろな点の電圧を表現するときに、基準となる(参照される)電圧ゼロの導体のことです。
設計者は無意識のうちに、「この点は何ボルトだから、、、」などと解析や設計を行いますが、すべて GND を基準に考えています。
ところが、ここに大きな落とし穴があります。
参照電圧は、時として GND でなく別のラインであることがあります。 特に小信号や S/N が問題になる回路を取り扱うときは注意が必要です。

図1を見てください。
トランジスタのコレクタには、バイアスとしての直流電流 Ic と信号としての交流電流 Isig が流れています。 これらの電流は V1 を決定するのですが、出力は、hoe (出力アドミタンス)が非常に小さいため、R の両端の電圧として R*(Ic+Isig) の形で現れます。 GND を基準とする電位ではありません。
もしも、Vcc にノイズ Vn が乗っているとすると、R の両端の電圧は Vn の影響を受けませんが、GND を基準として考えていますと、Vn 分だけ出力が変動します。
キャパシタの右側は交流分だけですから、Vcc を基準とすると (-R*Isig) が見えますが、GND を基準としますと (Vn-R*Isig) になります。
したがって、次段は GND からの変分を取るのではなく、Vcc からの変分を受け取ると、ノイズを少なくすることができます。
これを、一例として、光送信回路で考えてみましょう。
図2の LD はレーザダイオードです。 これにあらかじめ発振レベルよりも大きな電流(バイアス電流)を流しますが、アノード側に電流源(インピーダンスは高い)を入れるか、カソード側に入れるかの選択肢があります。
また、信号を供給するのも、アノード側でやる、カソード側でやる、はたまた両方でやるかの選択肢があります(図3)
では、図1の様に前段が NPN のコレクタで、内部に R の負荷抵抗を持っている IC から伝送線を引いてきてドライブすることを考えてみましょう。
回路として、上の選択肢すべてを考えると6通りできますが、図4では、バイパス方法も変えたものを含めて8通りの原理図を書いてみました。

1の回路は LD が交流的に R の両端につながってなく、GND を参照しているので失格です。
2の回路はそれを改良し、カソードに(Vn の周波数で Z が大きくなるような)インピーダンス回路をいれて、そこからカソードを Vcc に低インピーダンスでつないでいます。 回路が複雑になります。
3の回路は R の両端から取れています。
4の回路はアノード側とカソード側で Vcc までのインピーダンスが異なりますので、あまり芳しくはないですが、1よりは良いでしょう。
5の回路はカソードが低インピーダンスで GND に落ちていますので GND を参照しておりダメです。
6は2と同じように改良しています。
7は理想的な回路です。 一番ノイズの影響を受けないでしょう。 回路もシンプルです。

8は若干アンバランスですが4よりはずっと良いでしょう。 信号レベルが7の2倍有りますので、7と同等になると思います。
模擬的な実験をしてみました。
図5では LD の代わりに LED を使っています。 わかりやすいように、ノイズを 160Hz の矩形波で 10mV とし、信号を 2kHz ほどで 20mV 程度加えています。
図4のケース1と7が両極端ですので、それらの波形を出してみました。
ファイバーでフォトトランジスタに伝送し、増幅してその出力を見ます。
スコープの写真の下側が参照用のノイズパルスの原波形です。 上側が信号出力です。 スコープの同期はノイズ側に取っていますので信号は流れていますから輝度が低くなっています。 我慢してください。
信号の波形を見るのではなく、そのエンベロープを見てください。
図6はスイッチを1にしたときのものです。
明らかに出力は目的信号のサイン波がノイズに合わせて上下しているのがわかります
図7の写真はスイッチを7に切り替えたものです。
ノイズが無くなって信号は水平のまま流れているのが分かります。
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| 図6 1の場合 | 図7 7の場合 |


