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State Variable 発振器


Tepin 発振器で動かない回路を紹介したので、罪滅ぼしに動くものを紹介しておきます。

State Variable (状態変数)フィルタは、ハイパス、ローパス、バンドパスを同時に実現できるフィルタで、とても安定なものです。  部品数が多くなるのが難点ですが、オペアンプは帯域が広くないものが使えますし、ノイズも比較的小さくできます。 これを利用してつくります。



右の回路は昔作ったことがあるものですが、このままで動作します。 1976 年頃の Electronics 誌に載っていた Designer's Casebook を見て、若干の加工を追加したものです。 LF412 を使って再度作りました。

周波数は、R8、R9、C4、C5 で決まり、R8=R9=R、C4=C5=C としたとき

    ω0 = 1 / (RC)     [rad/sec]

になります。
発振条件は R1、R2+FET で決まる負帰還が R10、R11、R12 で決まる正帰還より少し小さい状態です。
R1、R2、R10、R11、R12 は、温度係数が小さいものを選んでください(金属皮膜とか)。 安定化のためです。

歪みを持ち込まないためには振幅制限回路に注意を払います。 振幅制限回路の最大のジレンマは、発振振幅を早期に安定化するために比較的速いループ反応を求めることと、歪みを小さくするために発振最低周波数での波の形が可変抵抗(FET)に届かない様にすることとが、なかなか両立しないことです。
右の回路では、100Hz で、収束するのに 10 秒位かけて4サイクルほどの振動を許しています。

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周波数は 100、1k、10k の3点だけにしています。 2連の可変抵抗を入れる余裕のない場所でした。  超小型のトグルスイッチを使ったのですが、機構的に中立位置で両接点があいたまま停止できるものです。  SW1 と SW2 は連動です。

出力は OP1、OP2、OP3 のどこからも取り出せますが、FET の非直線性で歪んでいる OP2 から取るのは不利になります。 ですから、積分回路を 2 回通り過ぎた OP1 から取っています。 さらにそこから 1k//1k と 0.0033u で 100kHz のローパスフィルタを作って出しています。

R10 は雑音を考えるともっと低い方が良かったかもしれません。 R11、R12 とのかねあいですから、R11、12 を 2.2k ほどにして、R10 は22k とか。

同じ理由で R1 も低くしたいのですが、 FET の抵抗可変範囲がありますから、こっちはそうはいかないでしょう。

負帰還量は FET の持っている抵抗を利用します。 ソースに対するゲート電圧で制御するのですが、R13 が無いときは問題です。  その時を考えますと、本当は制御電位はドレインとソースの電圧から独立していないとドレイン側はえこひいきされたことになります。  ドレインが負になったとき、ドレイン電極がソースの役目をするのですが、そのときゲート電圧は信号電圧との差分になってしまうのです。  ドレインが正の時はゲート電圧はグラウンドが基準だったにもかかわらず、です。 ここは4端子の素子がほしいところ。
R13 はその FET の非直線性を少しでも和らげるためにかけているフィードバックです。  ずいぶん良くなりますが、 OP4 の出力範囲が犠牲になります。  OP4 の出力は、100u が逆極性にならない範囲で使いたいので、0V から -3.5V までしか振れません。  だいたい -1.5 から -2V の辺りで発振する様に R2 を選んでいます。  FET を2つ並列にすると ON 側の抵抗を半分程度にできますから、必要なときは試してください。
(OP2 の - 入力側のどこかに同じ FET を適当な固定バイアスで挿入して、歪みを相殺させることができるかもしれませんね。  考えてみてください。)

振幅は R3、 R4、 R5、 R6 で決まります。  OP1 と OP2 で位相が 180 度違っていることを利用して、両波整流をし、できるだけ脈流になるのを避ける意味で 1k と 4.7u でピークに近いところでホールド(もどき)をやっています。  1k は小さくしたいのですが、 OPAmp の出力の負荷が瞬間的に重くなりますからやむを得ません。  その電圧と -5V とを比較して、OP4 の入力の位置で 0V になる様に抵抗で合成しています。  C2 は -5V ラインが持っているノイズの除去用です。 C2 も C3 もループの時定数としてはほとんど効かないので悪さはしません。  C2、C3 は私のアイデア。
ループが振動的になるので、 R7 で進み分を入れて押さえ込んでいます。  これは大きくするとよくダンプするようになりますが、かたや両波整流した後の若干のリップル分が漏れて FET のゲートを揺らしますから歪みの原因になります。

R6 の右にある2つのダイオードは温度補償用です。  上にある両波整流のダイオードの温度特性を補償しようとするものですが、上側が 2V を扱い、下は 5V ですので2つ入れました。

最大振幅は OPAmp の出力がレールから 2.5V 以上離れる様に決めます。

残念なことにこの程度に歪みが低くなると、私の手元には歪みを計れるものがなくなります。  右の図は 2 次と 3 次のハーモニックが -80dB 程度であることを示していますが、実はオシロのプリアンプの歪みなのです。  5 次の位置にもかなり大きいものがありますが、入力から 5 次をノッチで取り去っても画面上には出てきます。  ですからオシロのプリアンプの歪みです。 ( 7 次、9 次に隣接した信号が見えますが、それはエリアスです。)

[2020.5.25 追記]
その後、Audio Coverter で PC に取り込み、スペクトルアナライザソフトで測定してみたところ、第2、第3高調波とも -100dB (0.001%) 以下であることが分かりました。
第4以上はホワイトノイズ(-110dB)に埋もれて見えません。



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この回路は OP1、OP3 が積分形になっていますので、高い BW  が不要ですし、ノイズにも感度が低く作れます。 OP2 の summing amp の辺りを工夫すればひょっとしたら OPAmp が 1つ減らせるかもしれません。 OP3 の + 入力をうまく利用するとか。 どうでしょうか。

2SK30GR が振幅制限用ですが、LED と CdS でカップラを作ってもいいです。 ただし、CdS は時間遅れがありますので OP4 の積分回路と合わせて0.2Hz 位で振動的になります。 位相補正が必要です。 


フォトカプラの作り方:

赤の 3mm の LED を削る。 5mm の CdS と頭をつきあわせて瞬間接着剤でくっつけ、アルミフォイルをまく。  LED の足に極性マークを付けておく。 アルミが足に触らぬ様にさばく。 シュリンクチューブで遮光し固定する。
これで 25kΩ - 100MΩ のカプラのできあがり。 LED は 8mA 以下で。

CdS は制御側と抵抗側が分離されるので使いやすいですし、抵抗の直線性もいいのですが、熱の影響を受けます。  低い周波数で大きい電圧をかけると自己発熱のため奇数次の非直線性が出ます。
CdS は緑に感度がありますが、市販のものは CdSe も混じっていますので赤の LED が使えます。