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パルスの立ち上がりの形とスペクトル


パルスの立ち上がりが急峻だと周波数スペクトルが非常に広がります。
同じ立ち上がり時間を持っていても、形状が違うとスペクトルの広がり方が違います。
狭い帯域で効率よく信号を伝送するには、立ち上がりの形状を少し工夫してやります。

高度なパルス信号の伝送路を対象として考えてもいいですし、一番単純な応用としては、電信(CW) のキーによるキャリアの立ち上がりのことでもあります。
スペクトルが広がっていると、CW のサイドバンドが広い電波が出ていきます。

いくつかの立ち上がりの形状を Excel で作成し、フーリエ変換してスペクトルを見てみます。

まず前提ですが、1サイクルの長さが 80ms で、 duty 比が 50% のパルスとします。  立ち上がりは 10% から 90% までの期間が 5ms で、同じ条件で比較します。  ただし、参考のために加えた矩形波(Step function) だけはまっすぐ立ち上げます。
左に、いくつかのカーブを描きました。
赤は単純な矩形波(Step)、濃い青色は一次の指数関数カーブ ( 1- exp(-t/τ) ) です。  ピンクはガウスの誤差関数(確率積分)カーブです。 空色は直線です。  二乗正弦波 (Sin^2) と余弦波 (Cos) は実質同じになって、茶色で描いています。
立ち下がりはこれらの上下をひっくり返したものにします。

サンプリング周波数は 25.6kHz ですから、間隔はおよそ 39us になります。  これは 10%-90% の立ち上がりのサンプル数が 128 個になるように選んだ結果です。

(ええと、実は 80ms というのはモールス信号で少し速い短点を打っているときのパルスになります。)
そのパルスを 4 波作ります。

下の図は一つの例です。
青は指数関数のカーブをもったパルス列ですが、そのままでは両端でいきなりサンプリングが始まって終わる結果、 窓自体の FFT の結果が混ざります(ギブス現象)ので Hanning の窓をかぶせます。  緑が窓のレイズドコサインカーブです。 積を取ったのが、ピンクの波で、これを DFT (離散フーリエ変換)に入れます。  最初から最後までのサンプル数は 8192 になります。  窓関数との周期の開きが 4 倍しかありませんからスペクトルの幅が太る誤差が入りますが、まあ特徴を観察するだけならいいでしょう。


結果を見てみましょう。

まず基本の方形波です。  パルスが 80ms ですから、基本波の12.5Hz があり、その 3 倍、5 倍、7 倍と、奇数倍の調波が並びます。
わずかずつ下がっていきますが、下がり方はゆっくりで、ずっと上の方までスペクトルが広がっている様子が分かります。


方形波に単純な一次のフィルタをかませます。
立ち上がりをなまらせ、10%-90% 区間で 5ms となるような時定数を持たせます。
右の図で分かるように、矩形波よりはずいぶん良くなりました。 50dB 落ちが 400Hz あたりになります。


次に誤差関数を試してみます。
うーん、ずいぶんいいですね。 50dB は 200Hz より狭くなっています。 理想的です。



右の図は Cosine です。 誤差関数と同じようにスペクトルは狭い範囲に収まっています。 ちょっと波打っていますが。

二乗正弦波も計算してみましたが、これと全く同じ結果になりました。




ついでに直線で立ち上げたらどうなるか見てみました。
まあまあのカーブですね。 200Hz を超えたあたりに山が出てきます。


[まとめ]

単純な一次の RC フィルタではサイドバンドは除去できないことが分かります。
ガウスの誤差関数やコサインのような立ち上がりを持っているとスペクトルは広がらず、狭い範囲に収まります。
直線の立ち上がりのパルスも結構良い特性を持っています。

下の形が誤差関数の立ち上がりを持った波です。