共振回路に流れる電流
共振回路とはなにかと言うことは学校でも教えてくれます。
しかし、共振したときの電流の怖さについてはなかなか実際のところを教えてくれませんね。 今日はそこを観察してみます。
さて、太い線でコイルを作ります。 AWG#12 にしましょうか。 線径は 2.05mm
になります。 内径 19mm で 10 Turn を巻き、長さを 3cm に整えます。これでおおよそ 1uH になるはずです。
銅の抵抗を計算すると 0.994 mΩ になります。
キャパシタは 100pF を用意します。
LC を並列につなぎ、これに外部から 1uA の高周波信号を与えます。 共振点はおおよそ 15.9MHz にあります。
この共振端子にはどんな電圧が出てくるでしょうか?
また、共振のループにはどんな電流が流れるでしょうか?
周波数をスイープして見てみます。

計算結果は左の図の通りです。 (議論の都合上、表皮効果はないとしています。)
キャパシタに流れる電流は、実に 100mA にもなります。 外部から供給したのがたった 1uA ですから、驚異的な大きさになるわけです。
(ループ外へは 1uA ですから)コイルに流れる電流もほとんどこれと一致します。 ということは、電流はコイルとキャパシタの間だけでやりとりされているわけです。
見方を変えると、ほっておけば L と C でやりとりされる電流が、1 サイクルで 1/100,000 だけ減衰していくのを、外部からの 1uA で補充している、と解釈することも出来ます。
端子電圧は、たった 1uA 流しただけなのに 10V にもなります。
コイルのリアクタンスとその抵抗の比がおおよそ 100,000 になりますから、1uA が 100,000 倍になってループを流れるとおぼえてください。
しかし、実際にはこんなに大きくはなりません。 たくさんの阻害要因があるからです。 例えば:
-キャパシタのリード線が抵抗を持っています。
-キャパシタとコイルを接続するワイヤが抵抗を持っています。
-キャパシタの誘電体に損失があります。
-電流源は内部コンダクタンスを持っています(信号源の損失のことです)
-測定しようとしたり、これを次の段につなぐとそこでエネルギーを消費します。
-表皮効果によってすべての線の実効断面積は少なくなります。
まあ、そういうわけですから、Q は 100,000 よりだいぶ少なくなって、500 も取れればいい方でしょう。
でも、これで Q を落とさないために、またうまく回路を動作させるために注意すべきことがたくさん分かります。
- コイルの線はできるだけ太く、短くします。 損失の少ないコアを使えば巻き数が少なくて L が稼げます。
- キャパシタにでっかい電流が流れるので、内部の損失があると熱が発生します。 これによって共振点がずれます。
損失が少ないキャパシタを採用し、また熱容量や放熱をうまく考えると共振点移動の少ない回路ができます。
- コイルにも大きな電流が流れて発熱し、共振点がずれます。 でもキャパシタよりは放熱がいいのでそれほど問題になりません。
- コイルのグラウンド端子とキャパシタのグラウンド端子は別々にグラウンドに落とすと、グラウンドプレーンに大きな電流を流してしまいます。 これは他の回路との結合を作ってしまいます。 ですから両方をつないでから1カ所でグラウンドするようにします。 (ワンポイントアースの原理)
- コイルとキャパシタは接近して配置し、接続の線は太くします。 また共振電流による周りへの磁界の放射をできるだけ少なくする工夫をします。 なんせでっかい電流ですからバカになりません。
- センシティブな回路はこのループに近づけないようにします。
- 負荷(次段)のインピーダンスは、気持ちとしては無限大で受けるようにします。
- 駆動側も、損失を持つ回路なら、結合を弱めて Q に差し障りがないように気を付けてやります。
- 高電圧が出ますので、駆動電圧によっては 10 倍とか 100 倍を考えると、 kV や 10kV の耐圧のキャパシタを探すことになる場合もあります。
上では並列の共振回路を考えましたが、直列の回路でも同じように考えることができます。
共振点で、インピーダンスが極端に小さくなることを理解してください。
