パワーアンプの電源ON/OFF時のショックを少なくする
このごろのオーディオアンプは電源を入れたときに「ドン」という音は出ません。
トランジスタアンプが出始めた1960年代にはそんなノイズを出すものが当り前でした。

いまは、リレーを使って、電源を入れるときと切るときに、スピーカを切離しているものがほとんどです。
回路でも少しは工夫することができます。
右の図は典型的なパワーアンプをディスクリートで組んだときの概略図ですが、D1とC1がその工夫の跡です。
「ドン」という音の原因は、電源が入ったときに、初段の差動増幅がまだ動作しておらず、Q3の段の出力が存在してしまうことです。
フィードバックが働いていないのでグラウンドからの変位分が大きく、大きな音がします。
それで、いち早くQ1とQ2を立ち上げるためには、エミッタの電流供給抵抗を直接 + 側につなぎたいのですが、そうするともろに電源リップルを受けることになり、ノイズを受けることになります。

そのノイズを避けるためには図2の様にデカップリングを入れるのですが、この回路は差動回路のエミッタ側が時間遅れを持って立上がることになりますから、大問題です。
問題のノイズは、電源を切るときにも発生します。
それを避けるためには、今度は、逆に差動回路をできるだけ永く動作させておいて、電源電圧がずっと低くなるまで生き延びさせることがこつです。
ですから、このデカップリングはできるだけ時間遅れを持った方がよろしい、という矛盾した要求になります。
図1のD1とC1はその両者を満足するよう、立上がりはダイオードの順方向でC1を素早く充電して、差動回路を活性化し、OFFの時は電源の低下から無縁にして、C1にがんばってもらってQ1Q2に永い間電流を供給してもらうのが目的です。
これでずいぶん改善できます。
これは当時の私の独創だと思ったのですが、同時期に出てきた米国の有名なアンプにも採用されているのを発見し、「ありゃ、同じやり方だわな」 と遠い地のエンジニアと同じ苦労を分ち合った気がしました。
この工夫は、後に日本のメーカーから特許申請がなされましたが、私の方から「すでに世に中にある」と申請して取り下げてもらいました。
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リレーでスピーカを切るときには、全く逆に、立上がりが遅くOFFが速い回路が必要になります。
こんなのはどうでしょうか。
3.3u と 3.3k の時定数を短く設定して切れを早くしています。
立上がりは 2.2M と 0.1-1u の積で遅れを決めています。
