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RLC 回路の伝達関数、正規化の手法


前回の記事で、正規化という便利な方法について言及し忘れましたので追加です。

RLC 回路の周波数特性を求めるときに、1Ω、1F、1H、1rad/sec の世界で一応の計算を行い、その後で目的周波数に変換したり、 さらに目的インピーダンスレベルに変換する手法です。

この方法の利点は、最初に一般化して計算しますので、後で 「あ、ちょっと周波数を動かしたい」 とか、「このインピーダンスでは手持ちの IC で駆動できないので2倍のインピーダンスにしたいけど、 周波数はそのままで」とかいったときに簡単にシフトできることです。


例を挙げて説明します。 
右の図は 18dB/Oct. で落ちる Low Pass Filter です。 図の中にある 1 という抵抗は 1 Ω という意味です。  1.3145 というのは、キャパシタを 1F を基準としたときの倍数です。 1.3145F というとてつもなく大きい容量です。
この図では使っていませんが、もし使うならインダクタは 1H を基準とした倍数の値を使います。

この回路は3次のチェビシェフ (Chebychev) という特性を持っていて、通過帯域で少しだけのリップル(周波数特性上のでこぼこ)を許して、 できるだけ通過帯域で信号を通し、肩の特性を持ち上げようとするものです。
この例ではリップルを 0.1dB にして設計しています。

ということは、通過帯域の上限が 0.1dB 下がっていますが、その点の周波数は 1 rad/sec になります。 右の図です。

この回路の状態を 「正規化されている」 と称します。


回路図中の素子の値そのものはインピーダンスがとても低く、また、F のオーダという実現不可能な容量を定義していますから実用的ではありません。  しかし、計算は楽ですし、この状態からインピーダンスも周波数も自由に動かすことができます。

目的の値に動かす操作を「スケーリング」といいます。


まず、試しに周波数を 40 kHz に移動してみます。
 40E3 * 2 * 3.1416 ですから 251327 倍です。

そのためには、

 1.すべての C を周波数で割る。
 2.すべての L を周波数で割る。
 3.すべての R はそのままとする。


という操作を行います。 この操作を「周波数をシフトする」と表現します。
そうすると下の回路になります。



その周波数特性は右の図のようになります。
元の周波数特性の図を、形を変えずに右にシフトした状態になります。


さて、周波数は動きましたが、回路図を見ますと 1 Ω という低い抵抗を使っていますし、キャパシタも 19 uF というかなり大きな図体のものです。 
1 Ωをオペアンプで駆動することはできません。

そこで、全体のインピーダンスを持ち上げます。 抵抗素子で 3.3 kΩ にしてみましょうか。

そのためには:

 1.すべての R をインピーダンス倍する。
 2.すべての C をインピーダンスで割る。
 3.すべての L をインピーダンス倍する。


という操作を行います。 この操作を「インピーダンス・レベルを上げる」と表現します。

できあがった回路は下のようになります。



周波数特性は変わりません。 
おっと、、、浮遊容量がありますから、その影響は受けやすくなっていますので気を付けてください。

昔は計算尺が大活躍でしたねェー ==> Hemmi No.266