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グラウンドとは何か、その2


グラウンディングは無造作に行うべきではありません。
今、グラウンドの配線や、グラウンドにつなぐ部品の配置をしようとしているとき、そのグラウンドの意味をよく考えると、自ずからグラウンドの場所や方法が分かってきます。


1.信号の参照点:
信号の参照点の場合は、参照しているいくつかのノードと対になっていますので、それらの一群はまとめておく必要があります。  離れていると参照電位がバラバラになりノイズや歪みの原因となります。 このやり方を、昔はワンポイントアースと呼んでいました。
図1を見てください。 単純な2段増幅です。 今ではオペアンプでやりますから、このような回路はあまり見かけませんが、グラウンドの考察ですからちょっとがまんを。
A から J までグラウンドへの接続があります。 A は信号源の微少電圧の参照点です。 信号は Q1 のベースに行きます。 D は Q1 に与えられる交流電圧の参照点です。 ですから、A と D の間には電位差があってはなりません。 ので、別々の点に落とすのではなく、図2の様につなぎます。 B、C はそれほど厳密ではないですが、同じ意味でここにつなぎます。 これがワンポイントのグラウンディングです。

Q1 の出力は、出力アドミタンスが小さいですから、RLの両端の信号として出てきます(対グラウンドではありません)。  ですから、E のデカップリングのグラウンドが参照点です。 次段の入力の参照点は H ですから、E と H は同じ点であるべきです。

といったことを考えたのが図2になります。 
ところが、これでは一つ問題が発生します。  A のグラウンドが長い線で引っ張られていくため、ケースの外にあるシールド線の外皮に乗った、放送の電波や掃除機の雑音電磁波は、ケースの中であばれることになります。  このノイズはかなり大きく、とんでもない事態を引き起こすことがあります。  K のキャパシタは妥協のためケース入り口で高周波だけを落とす細工です。

オペアンプを使った増幅器の場合でも、同じ考え方をしてください。 自ずからグラウンドの点が見えてきます。

2.高周波のバイパス:
高周波のバイパスで重要なことは、バイパスの回路(電線やキャパシタの長さ)自体がインダクタンスを持ってしまわないようにすることです。 グラウンドの配線は、線ではなく面にすることによってインダクタンスを非常に小さくすることができます。 また、バイパスしようとするノードからグラウンド面までの距離をできるだけ短くします。 この長さは、扱う最高周波数の波長(誘電体中の波長)に対して1/20-1/10以下にするべきでしょう。  昔はニアバイアースと呼んでいましたが、実装するやりかたに変わりはありません。

この「最短距離で落とす」ことと、1で述べた「一群はまとめる」ということとが矛盾することがありますが、配置を工夫してできるだけ両立するようにするのがプロです。 信号の大きさや、周波数によってはどちらかに妥協を迫ることもあります。 バイパスキャパシタは高周波特性の良いもので、できるだけ小型のものにします。 2.5GHz では 0603 とよばれる 0.6mmX0.3mm といった小さいフットプリントのものも使います。

3.共振回路のグラウンド:
共振回路はコイルとキャパシタで作るループに大きな電流が流れます。 ですから、その2つはできるだけ接近させて、直接太い線でつなぎます。 別々にグラウンドに落とすことはできるだけ避けた方がいいでしょう。 グラウンド面に共振信号を流すと、別の共振回路からの結合が発生したり、別の回路にノイズとして信号を渡してしまったりします。

4.マイクロ波の伝送:
マイクロ波の伝送路に、ストリップラインやマイクロストリップラインを使うことが多くありますが、この信号路の相手方となるグラウンドは注意が要ります。

*スリットで横切らない
信号路の下にグラウンド面をとり、それを入力端から出力端まで均一にします。 まちがってもスリットを横切らせたりしてはなりません。 その場所で大きな反射が発生します。

*距離を一定に保つ
信号線との距離はインピーダンスを決定する第一要因ですので、これがフラフラすると反射して伝送損失となります。

*横とのすきまも一定に
同じことは、横にある別の回路との距離にもいえます。 これは信号の線幅程度は離しておきます。

*差動形を使う
差動の形にするとグラウンドの影響は小さくすることができます。 

*時には電源プレーンをグラウンドとして使う
信号の相手側が Vcc のときがあります。 その場合は Vcc プレーンを信号路の下に敷く構造を取ります。

マイクロストリップラインについては、日を改めて詳しく書くことにします。

5.電力:
電力を取り扱うところのグラウンドは、できるだけグラウンドライン(面)に直接電流を流さないようにします。 電流の通路を頭に描いて、絶対にグラウンドを介した電流のやりとりをしないように。 別の場所にあるアナログ信号は迷惑を蒙ります。

6.微少信号、異種金属:
非常に微少な信号を扱うとき、接地の金属にも気を払わねばならないことがあります。 異種金属間ではゼーベック効果で電位差を発生することがあるからです。 これはなにもグラウンドの接続だけに限った話ではないのですが、PC基板の温度とケースの温度に差があることが多いですから、コネクタ部分で問題となることがあるかもしれません。

7.AGND/DGND:
ディジタル回路とアナログ回路が混在する機会が増えています。 その2つを無分別にごちゃ混ぜの配置にすることはなさらないでしょうが、少し隔てて配置したときでも、グラウンド面に工夫をすると、ディジタルノイズの混入を格段に減らすことができます。

図3ではアナログ領域とディジタル領域のあいだに細いスリットを設けて、ディジタルの電流がアナログのエリアに侵入しないようにしてあります。
境界にある、どちらも扱う部品は、GNDピンに区別がありますから、それを認識した上でそれぞれ別のところに落とします。