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キャパシタの吸収電流 (マイカに注意)


キャパシタは電荷を蓄える素子ですが、予期せぬ蓄え方もします。

抵抗 R を通して C を充電すると、主として RC 積に従った時間で充電が行われますが、その 時間よりも数桁長い時間にわたって少しずつ電荷が吸収されていくのです。  原因にはいろいろな種類があるようです。 私は物理的な(機械的な)移動が伴っていると思っています。

逆に、充電されたキャパシタを R で放電すると、同じように RC 積で電圧が落ちていきます。  あるところで R を切り離しますと、その時点から先は、両端子間の表面漏れ電流などでわずかずつ電圧が下がっていくはずです。  ところが、先ほど吸収された電荷がじわじわ効いてきて、電圧が上がるという現象が観察できます。

見てみましょう。 右上のような回路を作ります。 270Ω で 6.4V に充電します。  たっぷり吸わせますので 20 秒ほどつないでおきます。 そのあと、1-2秒両端をショートします。  続いてショートを開放すると、当然 0V のままになるはずです。 ところが上がっていきます。

スコープは縦が 50mV/d で 横が 5sec/d です。 緑のトレースは 3.6V の基準線です。


これはタンタル固体電解で、 15uF 20V のものです。
数十秒にわたって少しずつ上昇し 70MΩ の負荷で 80mV を発生させています。


同じタンタルを比較のため 2 秒だけの短時間充電した場合です。 湧き出てくる電圧は少し小さくなります。


これはマイカキャパシタの 0.1uF です。 マイカは吸収電流に関しては非常に特性が悪いことで有名です。

この写真では 200mV ほどですが、1GΩ負荷では軽く 1V を超えます。


同じくマイカの 0.002uF でやってみました。 やはり悪いですね。


チタン酸バリウムの 0.15uF です。 マイカほどではありませんがほめられません。


マイラー(Polyester)の 0.47u です。 ずいぶん良くなりました。


ポリプロ(Polyproylene)の 0.1u です。 もっといいですね。


スチコン(Polystylene)です。  0.005u。
申し分なしです。

アルミ電解の 4.7u 25V です。  いただけません。


誘電体吸収と呼ばれる現象です。
意外に大きいのはマイカキャパシタです。  高周波特性、温度特性、絶縁性がいい素子ですが、高インピーダンスではこの問題があるのです。
マイカは層状の微細構造が重なってできています。  層間には物理的なギャップがありますから、電界がかかるとそれが電気吸引力による圧縮で少し縮むはずです。  そうすると機械的な動きに伴って若干容量が増加していきます(距離が小さくなるから)。 これで電荷が吸収されます。
放電の時は逆になります。 電気力が少なくなると機械的な応力が無くなり弾性によってゆっくり元に戻ろうとします。  距離が大きくなると容量が小さくなり、電荷が同じなら電圧が上がってきます。  実際は電荷の逃げる速度と機械的な復元との速さの勝負になります。

ピエゾ効果のある強誘電体のチタバリも悪い特性になっています。
スチコンはすばらしい特性を示しています。

サンプルアンドホールドのような 高インピーダンスで電荷を保持する回路では、浸み込む電荷、湧き出てくる電圧に気を付けてください。



[余談]

0.1uF みたいなでっかいマイカがあるかって?
それがあるのです。 

この 1kV 0.1uF は昭和 39 年頃に行きつけの部品屋で見つけたものです。 買ってきて、回路テスターの中に組み込みました。 交流電圧を測るときに直流分を切りたかったのです。 真空管のプレートの信号を見るときに使いました。

このサインペンの字は私が 19 才の時に書いたものです。
今ではこんな部品は探しても見つからないですね、、、、、、
あ、ありました。 双信です。
http://www.soshin.co.jp/product/?lkey=4&menu_l=4